今回から数回に分けて、ハサミについての基礎知識をブログに少しずつ残そうと思います。
なぜ急にそんなことするの??と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
皆さまが長年美容師理容師として経験を積まれると、普段使う道具へのこだわりが生まれて、シザーのここをもっとこう変えたい!と要望が出てくると思います。
そういったご要望に私達が的確に応えるためにも前提としての共通認識を持ちたかったからです。
間違った情報やカッコ良さそうという理由で毎日使う道具を選んではいけません。
ハサミの正しい知識と、なぜそういった造りになっているのかを理解した上でぜひ最適な道具を選んでください。
また、初めてハサミを揃える方は特別な理由がない場合を除いてできるだけ定番品を購入することをお勧めします。
私達の作る定番品は、様々なカット技法の研究や専門機関と協力して得た日本人の手のサイズデータからのサイジング、そして長年に渡りお客様からいただいた使い心地の声を製品に注いでマイナーチェンジを繰り返しています。
まずはそうして完成したOKAWA PRO-SCISSORSを使っていただくのが高価な買い物の間違いのない選択で、カット上達への一番の近道だと思います。
そして、ある程度経験を積まれた方は定番品から一歩進んだ自分だけのシザーをオーダーしてみても良いと思います。
ぜひここに書いていく知識をもとに、あなただけの最高の1丁をお作りさせてください!
さて、本題ですが最初は各部の名称からです。
稀に静刃と動刃は大丈夫ですが、静刃側のリングと動刃側のリングを逆に考えているかたもいるのでご注意ください。
【動刃】親指を使って動かす方の刃
【静刃】薬指を入れる方の刃でブラントカット時では動かさず使います。
【裏スキ】2枚の刃が合わさる裏側の僅かに凹んでいるところ。ハサミの良し悪しが一番生まれる部分。
【刃線】刃のラインがカーブしているところ。
Rの数値は円の半径を示すので、数値が小さい程カーブがきつくなります。
シザーの用途によって数値が異なります。
ネジに近いところを刃元、先の方を刃先と呼びます。
【ネジ】2枚の刃を繋ぎ止める重要な部分。
色々な考え方があると思いますが、私たちは出来るだけ部品点数を最少にして、いかに高品質なハサミが作れるがが腕の見せ所だと思っています。
なぜなら、どんな金属でも摩耗することで擦り減り、2枚刃が正確に噛み合わなくなってくるからです。
数々のベアリング屋さんから性能アップを謳い文句にお誘いを受けますが全てお断りさせていただいています。
【触点】2枚の刃の土台となる部分。こちらも余計な部品を入れないのがベスト
【柄】静刃側の柄は指を置く部分でハサミのインチによって長さが変わります。
ストレートやラクダコブがついているものがありますので、実際に持ってフィット感を確かめてみてください。
【静刃側リング】薬指を入れるリング
【動刃側リング】親指を入れるリング
【ヒットポイント】リングのクッションになる部分で、OKAWAではご購入時にゴムタイプか金属タイプをお選びいただけます。
こちらも好みによって分かれますが、開閉音が出ず静かなのはゴムタイプ、カンカンと開閉音が鳴るのは金属タイプです。
【小指かけ】現在OKAWAのラインナップは全てリング部分と一体型になっていますが脱着式に変更することも可能です。
使いやすさでご購入後も長さを変えることが可能です。長さはリング内側から小指かけ先端までで計ります。